五日市憲法草案 現代語訳 「第四篇 行政権」
第四篇 〔行政権〕
第一章 行政権
- 国帝は、行政官を監督する。
- 行政官は、太政大臣と各省長官をもって構成される。
- 行政官は、一体となって内閣を組織して政策を討議し、それぞれの省の長官として該当する事務を司る。
- 政府からのさまざまな布告は、太政大臣の名を署名し、当該の省の長官が副署する。
- 太政大臣は、大蔵卿を兼任しなければならない。
- 太政大臣は、国帝に奏上し、内務卿以下諸省の長官を任命する権利を持つ。
- 諸省長官の序列は、以下のようになる。
大蔵卿 内務卿 外務卿 司法卿 陸軍卿 海軍卿 工部卿
宮内卿 開拓卿 教部卿 文部卿 農商務卿 - 行政官は、国帝の命令にしたがって政務を執行するものとする。
- 行政官は、手掌する政務に関しては、議院に対してその責任を持つものとする。
もしその政務について議院の信頼を失ったときは、辞職しなければならない。 - 行政官は、さまざまな法律案を起草し、議院に提出することができる。
- 行政官は、両議院の議員を兼任することができる。
- 行政官は、毎年国家予算に関する議案を起草し、国会に付議しなければならない。
- 行政官は、毎年国家予算の決算書を作成して、国会に報告しなければならない。
【現代語訳 注意事項】
- この現代語訳は、当館作成の「五日市憲法草案 書き起こし文」を訳したものである。そのため、原文で誤りと思われる文字については加筆訂正し、欠けている箇所には推定した文字を挿入した条文で現代語訳した。
- 原文には読点・句読点がないため、適宜付与した。
- 各篇各章の表示は、適宜割愛・追記などの修正を加えた。
- 「民撰議院」の「撰」の字は、「選」に改めた。
- この現代語訳は、これまで取り組まれた現代語訳を参考に作成したものであり、専門的な法知識・法解釈に基づくものではない。
【参考文献】
- 町田市立自由民権資料館 「『五日市憲法(草案)』の現代語訳」
- 山本泰弘公式サイト「政策屋POLICYA」内「1881現代語訳千葉卓三郎五日市憲法(日本帝国憲法)」(URL http://yamamotoyasuhiro.tsukuba.ch/e306001.html)
- 諸橋轍次『大漢和辞典』、大修館書店、1989-1990