五日市における自由民権運動の中心的組織。数十名の会員は、五日市を中心に周辺の町・村にも広がっていました。
盟約・規則には、「様々な学芸上の問題について講談・演説・討論し、各自の知識を交換し気力を興奮させること」「外部から人を招いて講演討論させること」「自分たちの知識を深めるために本を購入して備え、自由に読むことができるようにすること」などが謳われており、「現在の日本の政治・法律については講談・論議しない」とあえて断っています。
憲法草案の起草に繋がる討論の場として、千葉卓三郎をはじめとする「放浪型のインテリ」との交流により村の民主的な発展、村落共同体観念の払拭にも繋がっていきました。
〔1〕五日市学芸講談会盟約
表紙には、五日市学芸講談会の印と深澤権八・大清(大福清兵衛)の署名があります。 会費は、定額会費5銭と臨時会費。会は毎月1日・11日・21日に開催。役員は、名主2名、年寄5名、勘定方2名、組頭若干名。入会は組頭の承認。 附則には、「我が会員は倶に共に自由を開拓し社会を改良する重きに任し百折不撓千挫不屈の精神を同じくする兄弟骨肉なれば特に互いに相敬愛親和すること一家族のごとくなるべし」「会員は互いに艱難相救い緩急相援け疾病災変のことあれば相互に慰安すべし」と、相互扶助も謳っています。
〔2〕五日市学芸講談会規則
会費は、定額会費10銭と臨時会費。会は毎月5日・15日・25日に開催。役員は、公選制の幹事4名、書記2名。入会は会員の紹介で幹事が許可。無断欠席6ヶ月以上と会費を払わない者は退会とする規定もある。
〔3〕五日市学芸講談会回状
五日市学芸講談会の明治14年9月5日の開催案内。 人が多く集まる五日市の市日に合わせて開催されていました。4人の幹事、大福清兵衛、馬場勘左衛門、大上田彦左衛門、深澤権八と、回覧する26名の会員の名が書連ねてあります。 また、討論の議題として、「一局議員ノ利害」「米穀ヲ輸出スルノ得失」「死刑ヲ廃スベキカ」の3本が書き添えられています。