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五日市憲法草案の解説 「第五篇 司法権」

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五日市憲法草案の解説 「第五篇 司法権」

この篇は、第一章「司法権」から成り、35の条文で構成されています。この条文数は他の私擬憲法草案のなかでも最も多く、手本とした嚶鳴社草案にない条文が28条もあります。また、参考にした7条にも大幅な修正が加えられています。このように、「第二篇 公法」と同じように、五日市憲法草案の独自性が発揮されている章といえます。


条文を見ていくと、司法権全般、裁判所、裁判官・判事、司法の手続き、司法権の制限(被疑者や被告人の権利保障)について規定しています。

  この篇では、国民の権利を制限できてしまう司法権に対して、むやみにその強大な権力を発動できないようなしくみとし、かつ法律の範囲内でしか国民の権利を制限できないようなしくみとなっています。


また、「第二篇 公法」で規定している内容を、この篇で再掲出している規定が所々にあります。特に、第二篇で「~されることはない」と、保障する表現で規定した条文を、改めてこの篇で「~してはならない」と、禁止する表現に変えて規定しているものがあります。例えば、「国事犯ノ為ニ死刑ヲ宣告サルルコトナカル可シ」(71条)という規定と、「国事犯ノ為ニ死刑ヲ宣告ス可ラス」(194条)という規定があります。こうした二重の規定もほかの私擬草案では見られません。


このように、この篇では起草者である千葉卓三郎の経験や、深沢家の法律関係の蔵書から学んだ法知識から詳細な規定がうみだされたと考えられます。

ただし、171条では「司法権ハ不羈独立ニシテ…」と、司法権の独立性を謳った条文があるにもかかわらず、170条では「司法権ハ国帝之ヲ摠括ス」と国帝の監督下に置かれているように受けとれる条文が混在しており、未整理な状態であるともいえます。

参考文献
   『五日市憲法草案とその起草者たち』 色川大吉編著 日本経済評論社 2015年
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