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深沢家の私設図書館

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深沢家の私設図書館

五日市憲法草案の起草や、地域の学習運動の盛りあがりの重要な舞台のひとつとなったのが、深沢村の戸長、深沢名生(なおまる)・権八の屋敷です。

深沢家は千人同心(江戸時代の職制のひとつ。武蔵・甲斐国境の警備と治安維持が任務)の株を持つ、有力な山林所有者でした。「東京ニテ出版スル新刊ノ書籍ハ、悉ク之ヲ購求シテ書庫ニ蔵シ」(『利光鶴松翁手記』)といわれるほどの蔵書は、商用などで上京した際に買い求められたと考えられます。

千葉卓三郎をはじめとする五日市学芸講談会の会員たちは、図書館のように自由にその蔵書を借り、学習のために活用していました。

深沢家の土蔵からは200点あまりの書籍が古文書と一緒に発見されています。蔵書の内容は宗教、歴史、医学、芸術、小説まで多岐にわたっていますが、注目されるのは政治や法律関係の図書が全体の3割以上にのぼることです。

中でも五日市憲法草案起草の参考にしたと思われる、欧米各国の憲法についての図書(『仏国憲法講義』、『欧州各国憲法』など)や近代法思想の基本的な文献(『民法論綱』、『民約論』など)も豊富に備えられていました。

これらの書籍の余白には多くの傍線や書き込みがみられ、学習意欲の高さがうかがわれます。

     

深沢家蔵書目録

私設図書館という形容がふさわしい深沢家の蔵書目録です。幕末の尊皇攘夷運動に多大な影響を与えた頼山陽『日本外史』から、ルソー『民約論』、トークヴィル『自由原論』といった洋の東西を問わない古典や名著のタイトルが記されています。

『法律格言』

ブーヴィーエール著 細川潤次郎訳注 明治11年刊
 各国の裁判所の報告書や法学博士たちの著作などから、重要な文言を引用して構成された法律についての格言集です。 「天然ノ権トハ一切ノ人類間ニ同一ノ力ヲ有スル所ノ権ナリ」「腕力ハ法律ノ敵ナリ」といった格言の数々が800ページにわたって記載されています。
 1行目に引用されているのはブルームの「国王ハ決シテ死セス」。千葉卓三郎はのちに「タクロン・チーバー氏法律格言」の中で、「国王ハ死ス国民ハ決シテ死セス」と、この言葉を読み替えています。人民主権を激しく求めた卓三郎ならではの読み替えであり、本書がよく読まれていたことの証明でもあります。

『独逸民法通論 巻之一』

ウインドシャイド著 山脇玄、平田東助訳 明治13年刊
 緒言、第一編 法論、第二編 権利論から成る民法についての通論です。
「民法ハ特リ各種固有ノ権利ニ就テ論スルノミナラス又一般権利全體ニ就テ論シ、及ヒ権利ノ因テ以テ生ス可キ法律ニ就テ論スルモノトス」(緒言・説述順序)という箇所や、「諸成法ノ淵源ハ元ト人民ノ心ナルヲ以テナリ」(第一編法論・慣習法)といった部分に朱筆による傍点が残されています。

『民法草案財産講義篇 人権之部』

ボアソナード著 加太邦憲、一瀬勇三郎、藤林忠良訳 明治14年刊
 契約を行うときや損害賠償が発生する際の「義務」という概念について考察する一冊。ボアソナードによる講義が基にされています。
「義務トハ人間ノ職分中ノ小部分ヲ殊更ニ指スモノナリ」「法律ハ道徳ニ干渉セスシテ各人ノ良心ニ任カス」といった箇所に傍点、傍線のあとが残されています。

『立憲政体一覧表 英米普仏』

藤井惟勉編 明治9年刊
 英国(イギリス)、米国(アメリカ)、普国(プロイセン)、仏国(フランス)、それぞれの国の政治体制の仕組みや成り立ちがわかる一覧表です。
司法、立法、行政の三権の構成やそれぞれの部署にどのような組織があるのかなど、細かく記載されています。各国の長所・短所も比較することによって検討できるようになっています。

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